- 水野 淳二さん管理部課長
- 趣味:ギター
- 水野 武士さん取締役副社長
- 趣味:クラシック鑑賞
河村商事に入ったきっかけは?
- 淳二さん:前職を辞めたからです。車関係でしたが、リーマンショックでその時の会社の計画がストップし、全社的に向こう2年仕事が無かったんです。また異動で職場環境も変わり、仕事に対する考え方が違うのも相まって、次の仕事が決まる前に会社を辞めました。前職関係の仕事もあったのですが、副社長でもある父に勧められて、入社を決めました。
- 武士さん:この業種は、売値が安なって儲からん時はあるけど、仕事は無くならんでよう。だでいっぺんやってみたらどうだ、いうことだわ。
副社長はいつ頃から河村商事で仕事をされてますか?
- 武士さん:昭和47、8年頃に河村商事入ったで、もう40年以上になるわなぁ。その時の友達がいま段ボールがむちゃくちゃ高く売れるぞ、と言って古紙を河村商事に持ってっとったんだわ。そこで、だれか春日井の工場で仕事やってくれるやつおらんか?って。それから河村商事で働くようになったんだわ。
その頃の河村商事はどうでしたか?
- 武士さん:はじめは何やっとるかわからんかったんだけど、やっとるうちにだんだんやらなあかんことがわかってきた。その頃は、問屋が直接集めに行くことはなくて、それぞれの街に中間業者がおって、問屋が直接やるとその業者が成り立たんようになるし、社長も遠慮するわけだわ。チリ紙交換いう商売の全盛期だわ。でも、そういう業者は古紙の市況が悪くなると生活ができんもんで、他の商売もやっとったわな。その時は河村商事にも古紙が入ってこんもんだで、それから営業に行くようになったんだわな。春日井市の住宅地図買って、子ども会の会長の所を回っとったわなぁ。
初代社長は組合の理事長を数年やっとったけど、店を増やせば古紙は集まるが、その分経営が苦しくなることはわかっとったんだわ。古紙の全体量は決まっとるで、いつか取り合いになると。それで初代社長は会社の拡張をやらんかった。
ここ15年ほどで会社が大きくなりましたね。
- 武士さん:今の社長が入社したときは春日井工場しかなかった。工場が一箇所だと、どうしても集める限界があるわな。仕事の都合上、小牧方面に工場があるとええなぁいうことで、小牧工場を作ったんだわ。それから仕事も順調に増えてきて、春日井から毎日知多の方へ高速使って走るもんだで、そっち方面にもう一つあったらどうだということで、大府に作ったんだわ。今の社長は、河村商事は古紙をたくさん集めて大きくした方がええぞ、いう考えなんだわ。
必要に迫られての拡張なんですね。
- 武士さん:とりあえずこれでしばらくは体力つけて、工場を増やすのはそれからだわな。ひとつ工場作るのはものすごい大変だで。やっぱり仕事があって工場を作る、いう順番だわな。
工場を作るといっても、地元の業者さんもありますからね。
- 武士さん:昔からそうだけど、古紙はたくさん集めりゃそれなりにもうかるんだわ。かといって、地元の業者もそこの行政回収とかやっとったりするで、そういうところへはこちらから場を荒らすようなことはできんわな。地元の業者も大事にせなあかん。
古紙業界とは全く違う業界から入られた息子さんはどうですか?
- 武士さん:それなりにやっとるんじゃないの。この先河村商事がどうなるかわからんけど、今のお客さんを大事にしてやってくいうことだろうなぁ。
- 淳二さん:ありがとうございます(笑)。
前職とはずいぶん違う仕事だと思うんですが…。
- 淳二さん:最初は何をやっているかわからず、古紙の回収ということぐらいしか頭になかったですが、前職と比べて一番大きく違うのは、この業界って売る方も買う方も全部がお客さんなんですね。
自動車産業のように、自動車メーカーから出た仕事はそれぞれの部品メーカーに流れていくんですけど、仕事を発注する方、受注する方で必ず上下関係ができてくる。ところが古紙業界は、お金になる古紙をお客さんから買い取るんですけど、買う側の立場が低いんですね。
- 武士さん:出す側は、お金をもらうんだけど買ってやっとるいう感じなんだわな。本当はお互い様なんだけど。そういう人ばっかりではないけど、ほとんどがそういう人だわ(笑)。なんでかいうと、古紙は注文してできるものじゃないから。発生するもんだでな。製紙会社が要る言ったって、発生せんかったらないんだわ。それで古紙の価格が高くなるんだわ。んで、余っとるときは安なる。使わんときは安なる。古紙を作れって言ったってあらせんでかんわ。発生するときに沢山買っとかんと、いきなり製紙会社が持ってこいったってすぐあらせん。
- 淳二さん:市場に古紙がないときは、みんなが欲しいところばっかりなんで。
- 武士さん:製紙会社が持ってこい言うときは運ぶモノがないんだわ。反対に問屋に荷物がいっぱいある時は、製紙会社はいらんいうんだわな。最近は輸出をやるようになったで、そういうことは少なくなったな。これからは値段のこと言わんかったら、いくらでも売れる。昔は売れずに困ったことがあったけど。
お二人とも入社したときに何をやっているのかわからないという印象ですが、この商売を一言でいうと?
- 武士さん:普通の商売はお金もらう人がお客さんなんだけど、お金になるモノを持ってきてくれる人が一番のお客さん、いうところが違うわな。んで、荷物をたくさんあつめて売るモノをたくさんにするという最終的な目標は変わらんな。売る古紙をたくさん持っとると製紙会社にもいい影響があるで。それに、なんべんも言うけど、仕事が無くなることはないでな、この商売は。
淳二さんは管理部ということですが、普段はどんな仕事をされてますか?
- 淳二さん:入社して7年になりますが、最初に現場を1年くらいやりました。コースを一通りこなしたところで管理部配属になりました。最初の頃は午前中は経理の手伝いをして、午後からは配車の手伝いをやってました。それまでは配車は工場長が一人でやってたんですが、工場長に何かあったときどうするんだ、ということで、ドライバーが配車をやることになったんです。その手伝いですね。具体的にはドライバーがまとめた配車内容を表にしたりとかそんなことです。そのうちドライバー自身で表も作ることができるようになったので、それからは、古紙畑もやるようになりました。古紙畑は、最初の頃は出店ペースがゆっくりでしたので、いろいろ見ながらやってたんです。古紙畑の店舗開発って、これは僕だけかもしれませんが、生産設備の流れと似てるんですよ。ステーションのレイアウトやお客さんや回収する側の動きなどをふまえた仕様などを考えるのは、前職でやってたことと近いんで、僕は受け入れやすかったですね。まあいろいろ失敗をするわけですが、その失敗を分析して次回は失敗しないように、だんだん標準化していくわけです。そうするとミスも減るし、全体の出店コストも下がってきます。標準化しておけば周りも楽ですし、次に新しく携わる人もやりやすいですしね。そういうことを何年かやってるうちに出店ペースも速くなってきて、ほとんどの時間を店舗開発に費やしてますね。古紙畑をやりながら多少は古紙にもさわってきた、というところです。
古紙畑の仕事って、ドライバーとはまた違った現場の仕事ですね。
- 武士さん:古紙を集める一つのプロセスだわな。
- 淳二さん:古紙畑は1号店ができてから8年ほどやってきてるわけですが、先にやっただけ優位にいろんなことをやらないといけないですね。いつまでも同じような失敗をしていてはダメだし、名古屋市内への出店など新たな一歩を踏み出すことも考えています。
河村商事の雰囲気はどうですか?
- 武士さん:そんなに悪い雰囲気じゃないけどな。
- 淳二さん:僕もそう思うんですけど、自分のやってることがうまく進まないと、そっちがいかんのじゃないかっていう考えになっちゃうんですよね。言うほど悪いかなって。こんなもんでしょ。
- 武士さん:ちゃんと仕事も回っとるしな。細かいところ言い出したらキリがない。
- 淳二さん:最低限仕事が回ればいいんじゃないですか。お客さんからのクレームもなく、仕事が一日一日終わっていけば、まずはその段階はクリアですよね。
- 武士さん:最終的には会社が儲からないかん。儲かっとるときは、ちょこっとくらいヘマしても気にならんのだわ。儲かっとらんといろんなことでワーワー言い出す。会社が儲からんと何にもできんでいかん。まあそこだわ。
最後に、新しく入社する人へ一言お願いします。
- 武士さん:河村商事は悪い会社ではないんで。長いことやっとるでな。この業界の中でも給料はええほうだと思うよ。
- 淳二さん:この業界って、環境関係でくくられることが多いんですが、実際の現場って古紙をいかにして集めるかに尽きるんですね。「地球環境に貢献する企業」とかいうイメージ先行で入社すると、ギャップが大きいかもしれません。現場の仕事も慣れるまではキツいですし。僕が入社した時も、古紙を集めとるんだなくらいで何をやっとるのかわからなかったですから。どの仕事も同じだと思いますが、現場の仕事をやるのが、その会社のことや仕事を知るには一番はやいですね。将来の心配はあるかもしれませんが、一つ自分の得意なモノを作っておくと長い間働けるかもしれないですね。